その2(会計基準変更時差異)
私が以前から苦手な項目である退職給付会計。
この項目を克服するために、ブログで基礎からまとめていこうと思います。
問題に入る前に勘定科目等を正式に書くと長くなってしまうので略します。
退・引=退職給付引当金
退・債務=退職給付債務
退・費用=退職年金費用
後T/B=決算整理後残高試算表
例題
下記の資料に基づいて、決算整理後残高試算表をさくせいしなさい。
<資料>
1.当社は、退職一時金制度及び企業年金制度を採用している。
2.当期首における退・債務 10,000、年金資産時価 7,000
3.割引率 2%、期待運用収益率 1%
4.当期勤務費用 500
5.当期中の年金掛金支払額 400
答え
となります、解説は追記をご覧ください。
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解説
まずは退・費用を求めます。
式は
当期勤務費用+(退・債務×割引率)-(年金資産時価×期待運用収益率)
※年金掛金支払額は費用ではなく、年金資産の増加となるので引当金の取崩をします。
なので
500+200(※1)-70(※2)=630
※1 10,000×2%=200
※2 7,000×1%=70
仕訳をすると
退・費用 630 /退・引 630
年金掛金支払額があるので引当金を取り崩します。
退・引 400 /現金預金 400
なので、後T/Bの退・引は
3,000+630-400=3,230
となります。
この方法だけでは後々の問題に対応できないため、違う方法も説明します。
まず、将来退職金として支払う金額(退職給付債務)からそれに備えて運用している金額(年金資産)を引いたときの金額を退職給付引当金として計上します。(年金資産が退職給付債務を上回る場合は「前払年金費用」として資産計上される)
なので、年金資産と退・引を足した金額と、退・債務は本来等しくなります。
先ほどの問題ですと
年金資産+退・引=退・債務
7,000+3,000=10,000
Tフォームで書くと
前期末未積立退職給付債務 |
年金資産 7,000
|
退・債務 10,000
|
退・引 3,000
|
|
となります。
これは、あくまで未積立退職給付債務のTフォームなので会計とごっちゃにならないように気をつけてください。
そこから、期中取引を基に退・債務と年金資産を加減していきます。
退・債務の増加
勤務費用 500
利息費用 200
期末退・債務
10,000+500+200=10,700
年金資産の増加
運用 70
掛金 400
期末年金資産
7,000+70+400=7,470
期末退・引
10,700-7,470=3,230
となり、Tフォームであらわすと
当期末未積立退職給付債務 |
年金資産 7,470
|
退・債務 10,700
|
退・引 3,230
|
|
となります。
数理計算上の差異を求めるときに、このことを知っていないと対応できなくなるので、しっかり身に付けるようにしたほうがいいと思います。
その2(会計基準変更時差異)
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